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2025/07/06

昨年の9月に最初の連絡を頂いてから、約10ヶ月に渡って所有者Wさんとこれからの相談や片付け作業を一緒にやってきた。整理の一つの区切りとしてWさんが頑張っていたのが、空き家になるまで家に住まわれていたお兄さんの一周忌だった。

大体の一周忌の準備が整った頃にWさんが「法要の際に一緒にお参り頂き、皆にご紹介もありかな?と思ってました」と連絡が。

家族のように一緒に家のことを考えていきたいとは思っていたけれど、本当の家族しか立ち会わないような場に呼んでも良いと思ってくれた事にとても驚きながら、本当にありがたいと思い、参加させて頂くことにした。

親族の皆さんにどういう振る舞いで居たら良いかわからない中で家の前に到着したら、親族の数名とタイミングが重なり明るく迎えて頂いた。玄関では年齢が近そうな娘さんにも自己紹介でき、どうぞあがってくださいとは言って頂いたが、Wさんが奥で忙しくしている中で自分のペースで輪の中に入っていく事に気が退けていた。もう少し玄関で待っていた方が良いなと思っていたが、結局は見つけてくれるくらいまで家の中には入らせて頂いて親族の皆さんに紹介頂いた。親族の皆さんに「安心だ」と言って頂いた。

当日までに親族のみなさんが集まって座れるようにテーブルとイスを用意して家が大きな役割を果たせるようにした。今まであった家具や荷物を廃棄する判断の難しさに立ち会ってきた上に、自分達で新しく置くものを決めるという決定に難しさも感じていたが、みなさんが受け入れて使ってくれていたのもまた家族になったような気持ちにさせてもらった。

親族のお話も聞いて、足が痺れるねと言いながら一緒にお経をきき、お茶やお菓子をいただいて大きな儀式が終わった。何かの終わりが何かの始まりになる的なフレーズはあらゆる場面でよく聞くけれど、こんなに体感することはなかった。

一周忌を無事終えた近隣挨拶の際に、私たちも一緒に連れて行ってもらい、今後の管理や活用の立場として紹介頂いた。終わりが始まりというか、終わる訳ではなく積もっていくような感じなのかな。この家の今までのことはこれからもちゃんと残したい。

県外からいらっしゃっていたWさんご家族を、最後は私たちが玄関でお見送りした。家の主を玄関でお見送る、しかも法事という家の主の役割が特に強い日に。それが恐縮というか、不思議な気持ちで 玄関でする挨拶にしては畏まったかたちでお辞儀をした。相方の中川は遊びに来た友達を見送るくらいライトに手を振っていた。娘さんがちょっと不思議な顔をしながらも笑ってくれていた。優しいご家族、素敵な家だと思った。

Makino